2015年12月インドネシア共和国を訪問しました。
訪問目的は、インドネシア共和国の概況と自動車部品メーカーの現地でのビジネスの可能性を調査することです。
インドネシア共和国の概況
人が多い、バイクが多い、自動車が多い。インドネシアの人口は約2.4億人、このうち約3,000万人が首都ジャカルタ及びその近郊に住んでいる。近代ビルが立ち並び、あちらこちらで新たなビルを建築中であるが、その傍らには壊れそうなバラックも多い。
高速道路や多くの幹線道路は片側4車線あるが、ここが慢性的に渋滞している。わずか数百メートル進むのに30分以上かかったこともあった。赤信号でも交差点に進入して交差点の真ん中で止まってしまうため、交差する車線では青信号でも進行できずに数台しか進めないのである。渋滞のひどいところでは車道に出て来て各車を覗き込みながらパンや水を売り歩く人が何人もいた。商売に大変貪欲である。このような危険な場所で商売するとは日本では考えられない。
夜になると歩道に屋台が建ち並ぶところは東南アジア共通のようである。訪問時は事前に覚悟したほどの酷暑では無いもののやはり昼間は暑い。昼はじっとして、夜になると行動する気持ちがわかる。しかしながら毎晩深夜まで音楽を奏でたりして騒いでいるようで、翌日の仕事に影響しないのか気になるところである。
ATMが充実しており、街のあちらこちらで見かける。キャッシングには便利である。立ち寄ったセブンイレブンには5台も設置してあった。円をルピアに両替するよりもレートも良いと思う(カード会社の請求が来ないと正確ではないが)。
食事は総じて味付けが良く、短い滞在期間ではあったがその間の食事はどれも美味しかった。甘辛い味付けのものが多い。
近年は低迷気味だそうである。政権が代わり、それまで政府がおこなっていた補助金を打ち切ったことでガソリン価格が高騰したことが影響している。2013年までは1リットル40円だったのが2015年は1リットル85円と2倍になった。とはいうものの、最低賃金も2012年から2015年の3年で約2倍になっており、ショッピングモールは多く、走っている車は比較的新しいものばかりで、購買意欲は高いと感じた。
相手の目を見て笑顔で声をかけるという気持ちの良い挨拶をする人が多かった。日本人も大いに見習うべきと思う。
インドネシアにおける自動車部品のビジネス状況
ほとんどの人が3年ローンで車やバイクを購入している。これまでは全額ローンの人が多かったのであるが、3年前から頭金が必要になり一気に販売台数が減少した。景気の低迷も影響し、自動車関係各社は当面の業績は厳しい。また、税制が良く変わること、貿易をルピア建の指導があること、社員の雇用形態の派遣や契約社員から正社員への指導があること、労働組合の上部組織の力が強いことなど事業を取り巻く環境も厳しい。しかし、日本の2倍の人口を抱え、しかも若年層が多いこともあり、訪問した各社は今後も事業拡大は期待できるとしている。
人材育成、特にマネージャーの育成が課題のようである。概ね言われたことをしっかりやるそうであるが、上位階層者へのマネジメント能力を身につけてもらいたいと感じている。
自動車メーカーの部品の調達はほぼ現地調達である。原材料については国内生産が乏しく、スクラップもさほど多く無いため輸入に頼っているが、部品に関しては90%以上を現地で調達している。このとき、日系企業にはより高度な技術を要求される付加価値の高いものを依頼する傾向があるようである。これらのことから、自動車部品に関して日本からの輸出による取引の可能性はゼロではないが、現地での調達と比較した場合の(かなり明確な)特徴や優位性が必要である。