長嶋茂雄さんの「SECOMしてますか?」に倣って、私はコンサルティングや研修でまず「5S知ってますか?」と聞きます。
5Sとは、整理、整頓、清掃、清潔、躾の頭文字をとったもので、仕事の基本といわれています。特に製造業の方には「何を今さらそんなことを?」という顔をされます。毎日職場で耳にタコができるくらい聞かされていることなので当然です。
次に「5Sしてますか?」と聞きます。これもほぼ全員が5Sをしていると答えます。
しかし、そういう方々の現場を確認すると5Sの出来ていないことが多く目につきます。とりあえず空いているところにモノが置いてある、通路にモノがはみ出している、簡単なところではゴミが落ちている、などあげるときりがありません。
5Sは全員が知っています。そしてほぼ全員が5Sをしていると認識しています。けれども実際にはあまりできていません。
なぜでしょうか。
理由の1つとして、当初は5Sができていないことを認識していたけれども、次第にその認識が麻痺してくるのではないかと思います。仕事の基本として5Sは重要だけれども、それを完璧におこなわなくても日々の仕事は出来てしまいます。最初のうちは「いつかちゃんとやろう」と思っていても、日が経つにつれて気にならなくなる、そのうち目にさえ付かなくなるのではないでしょうか。
「知っていること」と「できること」はイコールでは無いのです。
ゴルフについてはどうでしょう。
オーバースイングになっている、アドレスでスタンスが右を向いてしまう、体が十分に捻転していないなど、多くの人はゴルフの基本から外れた自分の問題点を知っています。おそらくずっと前に仲間から指摘され、当初はいつか良いスイングを身につけよう、なんとか矯正しようと試みたはず。しかし、完璧に矯正しなくてもボールは打ててしまうし、仲間は何度も同じことを言うことも気がひけるので言わなくなる。今ではすっかり気にならなくなっていませんか。
では、仕事の場合もゴルフの場合もどうすればいいかというと、なかなかやっかいです。
第一に必要なことは、「知っていること」を「できること」にするという強い意志です。「少しくらいまあいいや」、「次回からちゃんとしよう」という考えを徹底して戒めましょう。しかし本人の意思は頼りないものです。ついつい怠けてしまいます。そこで第3者の指摘が効果的です。仕事では他部署の人に、ゴルフでは友人に、「直すところがあったら遠慮なく(何度でも)言って」とお願いすればいいのです。ダメだと言われ続けるのです。若輩者からの諫言にも耐えながら矯正するのです。言われたく無かったら直せばいいのです。
ゴルフも仕事も「知っていること」を「できること」にすることにしたいものです。